プロジェクトの詳細について

 このプロジェクトの背景や内容について、もう少し詳しくご紹介します。

 初めに、プロジェクトの背景についてご紹介します。

大学への進学希望率

 厚生労働省(2015)の調査によると、児童養護施設やファミリーホームなどで育った人たちの大学への進学希望率について、中学校三年生時点では、「希望する」と答えた人の割合は29.5%、「希望しない」と答えた人の割合は28.4%でした(残りは「考えていない」と回答)。

 しかし、高校三年生時点では、「希望する」と答えた人の割合は26.0%、「希望しない」と答えた人の割合は45.6%でした(残りは「考えていない」と回答)。

 

 つまり、学年が上がるにつれて、大学への進学希望率は低下するのです。このことは、平井(2016)においても、進学を希望していても諦めてしまう子どもが一定数いると示されています。

実際の大学進学率

  厚生労働省(2017)の調査によると、日本の高校生全体の大学への進学率は、52.2%となっています。これは、Trow(1974)の唱えた「高等教育の発展段階説」にもとづけば、「ユニバーサル段階」であると言え、高校卒業後の進路として、大学進学が一般的なものとなったことを示します。

 それに対して、児童養護施設やファミリーホームなどで育った方たちの大学への進学率は、同じ調査で12.4%に留まっています。

 

 つまり、社会的養育出身者の大学進学率は、世の中の高校生と比べて約40%も低いと言えます。

 なお、板山(2016)によれば、高校生全体の大学進学率は1975年にはすでに25%を超えていたため、社会的養育出身者の大学進学率は、世の中と比べて40年以上も遅れを取っていると言えます。


進学後の大学中退率

 ブリッジフォースマイル(2017)の調査によると、日本の大学生全体の中退率は、四年間で7.8%とされています。

 しかしながら、児童養護施設やファミリーホームなどで育った方たちの大学中退率は、四年間で26.5%とされています。

 

 つまり、社会的養育出身者の大学中退率は、世の中の大学生と比べて、約20%も高いと言えます。

 なお、高い中退率の原因の一つとして、社会的養育出身者はより「孤独感・孤立感を感じる」こと、より「身近な相談相手がいないこと」、より「友人のことで悩みがある」ことなどが挙げられます(梅木ら, 2014)。

高等教育の修学支援新制度

  文部科学省(2019)によれば、2020年より、高等教育の修学支援新制度がスタートします。大きな特徴は、支給額が大幅拡充されたことと、高校等における推薦枠の人数上限がないことでしょうか。

 さらに、社会的養育出身者については、本人の所得・資産にもとづいて判定され、父母の所得・資産は判定に際して考慮されないこととなっています。

 

 つまり、これまでよりも大学進学の可能性が高まっていると言えます。


 以上の4つの理由から、児童養護施設やファミリーホーム、里親家庭などから大学へ進学する皆さんの、修学継続・大学卒業に向けたサポートがしたいと思い、プロジェクトを立ち上げました。


 ここからは、プロジェクトの内容についてご紹介します。

星の絆プロジェクト

 社会的養育出身で大学に進学された方同士の横のつながりづくりをお手伝いします。

 

 

希望のバトンプロジェクト

 社会的養育出身で大学に進学された方と、児童養護施設・ファミリーホーム等・里親家庭などで生活していて大学進学を考えている方たち、つまり後輩たちとの縦のつながりづくりをお手伝いします。


星座を紡ぐプロジェクト

 大学卒業後の就職や進学を見据えて、社会的養育出身で大学に進学された方と、過去にすでに就職・進学された方たち、つまり社会とのつながりづくりをお手伝いします。(詳細未定)

夢への架け橋プロジェクト

 社会的養育出身で大学に進学された方と、社会的養育出身で大学卒業後に就職や進学をされた方たち、つまり進学後に社会に出た先輩たちとのつながりづくりをお手伝いします。(詳細未定)